2018年ももう終わるって「魔剤」!?

いよいよ明日がお正月本番ですよ!

むっちゃドキドキしてきた…。

日本在住の皆さん、今日くらいはタスクは休んで年越しに備えますよね*1







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はい。
まあ皆さん結局そんな感じでしょう*2。そして極限までタスクに追われると心の中に巣食う悪がこう囁くのです。

「このままで作業が終わるのか? 終わらないよなぁ? 徹夜でやるしかないんじゃないか?」

……。




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デデドン



と、こんな経験をしたことありませんか?
まあ冷静になれば徹夜したところで進捗なんて見込めるはずもありません。
どう考えても早寝早起きして翌日にやった方がいいんですが*3、この思考停止状態では何故か魔剤頼りの深夜作業こそ正義という錯覚に囚われてしまいます。

無論そんなことは回数を重ねるほどに誰だって痛感します。
それでも人々は魔剤を飲んでは眠気を払い*4、気力を呼び起こすのです。

かくも深夜作業に没頭することが魅力的なのか、それとも魔剤という飲み物自体に惹かれてなのか。
ロジックはともかくとして、「魔剤入れてオールw」というムーブが絶えることはありません。

筆者の身の回りでもこのような話はよく聞きます。そしてあまり魔剤に造詣が深くない筆者はこう思うわけです。


「魔剤*5って、なん*6や……?」


というわけで今回のテーマは「魔剤」です。

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一度くらい考えたことありませんか?

「魔剤って何から出来てるんや?」

と。
筆者は無限に考えたことあります。面倒なのでどうもしてきませんでしたが。

いい機会なので原材料名調べてきました。
せっかくなので、知ってる知識だけを使って、それらの原料がいかにして魔剤をエナジードリンクたらしめているのかをこじつけてやろうと思います。

なぜそんなことをしたがるのか? 考えてもみてください。
誰もが知ってる魔剤。けれどその原理を分からないとなると、なんか負けた気がするでしょう?

言葉にするとなんかより腹立ってきたな。絶対負けねえ。勝負やモンスターエナジー
半分以上俺が理由説明*7出来たら俺の勝ちな!!!!


1.砂糖類

一番入ってました。そしてカッコ書きで砂糖とぶどう糖が挙げられていました。
詳しく調べるのは面倒なので適当ですが、砂糖とはおおかたスクロース(蔗糖)とフルクトース(果糖)のことでしょう。
これらの両方が含まれているとすれば、魔剤にはグルコースぶどう糖)も合わせて糖が3種も配合されているわけですね*8。そりゃ甘いし飲みやすいわ。

1-A.スクロース

人体ではスクラーゼとかインベルターゼによって*9小腸壁で早々にグルコースとフルクトースに分解されて血流に入ります。

1-B.グルコース

グルコースは細胞中で解糖系*10(EM経路*11)によってピルビン酸まで代謝され、ATPやNADHなどの物質を産生します。
ざっくばらんに言うと、運動やら生理活動含めヒトの身体の大体の働きに必要なのが通称『エネルギーの通貨』とも呼ばれるATP*12で、エネルギーを身体の外部から得るために必要*13なのがNADH*14です。

まあ頭脳労働肉体労働問わず必要なエネルギーの源がこいつら、というわけですね。

ちなみに、ヒトのエネルギー産生と言って皆さんが真っ先に思い浮かべるであろう解糖系とTCAサイクルですが、ことATP合成の速度においては解糖系の方が圧倒的に速いです。
まあグルコース入れてれば確かにエネルギーは補充できてるのかも。エナジードリンク、名の通りであった。

1-C.フルクトース

グルコースが細胞中で分解される速さもまあ速い*15んですが、フルクトースが肝臓で分解される速さはもっと速いです。
まあ何故速いかというとグルコースより毒性が強いからなんですがそれは置いておいて。
フルクトースは肝臓で解糖系の代謝を受けてやはりATPやNADHを産生します。

やったねたえちゃん。エネルギーが増えるよ!

お前、甘いだけじゃない*16んやな……。

【現在の戦績:1勝0敗】


2.高麗人参根エキス

知ってる範囲の知識でイキろう解説しようと思ってたら無理なのが早速出てきて泣いています。
本当に何も分からないのであることないこと言いますが、どうせファイトケミカルが含まれてて滋養強壮に役立ったりするんじゃないですか?

【現在の戦績:1勝1敗】


3.L-カルニチンL-酒石酸塩

高校化学やった人は「出たよ」と感じるL-表記。ただこの記事は異性体の解説する記事じゃないので(異性体の概念自体は代謝に重大に関わってきますが)流します。
塩の形になってるのはL-カルニチン単体では不安定だからというだけでしょうから、L-カルニチン(鬱陶しいので以降は『カルニチン』で行きます)について述べます。

カルニチン脂肪酸代謝に大きく関わってきます。どのくらい関わるかというと、ワンピースのゾロくらい*17

ざっくり言うと、カルニチン脂肪酸をサイトゾルからミトコンドリア内部へと運搬する役割を持っています。
脂肪酸ミトコンドリア代謝*18されてアセチルCoAをめっちゃ作ります*19

作られたアセチルCoAは本当に様々な役割があるんですが、エナジードリンクのために配合されてるってことはTCAサイクルが目的なのでしょう(断言*20)。

アセチルCoAを1つの基軸として回るTCAサイクルは代謝経路の1つで、解糖系と同じようにやはりATPやNADHを生成します。……それもすごい数を。
速さでは解糖系に劣りますが物量はヤバいです。

そして脂肪酸をアセチルCoAに変換するβ酸化を行なっているミトコンドリア脂肪酸を運搬するカルニチンは、大いにエネルギー産生に寄与していると言えるでしょう。

これもエネルギー産生、可能──!
そして強弁解説もまた、可能──!

【現在の戦績:2勝1敗】


4.塩化ナトリウム

塩じゃん。

【現在の戦績:2勝2敗】


5.ガラナ種子エキス

知らんて。

【現在の戦績:2勝3敗】



2勝3敗。このままでは魔剤に敗北してしまう。

いや魔剤に敗北ってなんや? これまで負けず嫌いが高じてイキりにイキりを重ねてきた筆者は極力敗北の少ない人生を送ってきたが、その中でも魔剤にだけはことさら敗北したくない。

さて、クエン酸。こいつも前述のTCAサイクルの基軸になっています。
というかこのTCAサイクルの別名は『クエン酸回路』。高校生物で聞いたことある人も多いかと思います。
ということはATP産生、ひいてはエネルギーを作り出してくれていることでしょう。
はいQED!証明完了!!!

【現在の戦績:3勝3敗】


※この間に香料、クエン酸Na、甘味料(D-リボース、スクラロース)がありましたが関係無さすぎたり被ったりなので流石にこじ付け対象外とします


7.L-アルギニン

正味これのために記事を書いています。

魔剤って缶のアオリ文でもアルギニンを強調してますよね? これってアルギニンがエナジードリンクに効果的な物質とであるという認識は全人類にとって自明だという魔剤からのメッセージですよね?

もしアルギニンが何なのか分からないとでも口にしようものなら「アルギニンの効果が分からない? そんな無知蒙昧の輩が魔剤を口にするな」などと攻撃されるに違いありません。
つまりこのアルギニンの効用の説明は負けるわけにはいかない天王山ということになります。

絶対負けねえ。

アルギニン。
真っ先に思いつくのはこれがアミノ酸であるということくらいです。
せめて必須アミノ酸であればそれを理由に攻め手があったでしょうが、こいつは非必須アミノ酸。つまり人体でも他の物質から生合成することができます。
ここから攻めるのは難しいか。

それでは他の側面から攻めるしかない。
他の側面。
アルギニンの……?

……アミノ酸1文字表記ではR。塩基性

……その知識が今なんの役に立つんや。



……。





…………。






待て。この流れはよろしくない。
このアルギニンの解説*21を諦める訳にはいかない。そんなことをすれば即魔剤に対する敗北になってしまう。
それだけは看過できない。

大体クエン酸回路みたいな分かりやすい知識使わないヤツを引っ張り出してくるんじゃないよ!


……クエン酸「回路」?


何かが引っかかる。そういえばこいつ、「非必須」アミノ酸。となれば知ってる知識にアルギニンを生成物にする回路はなかったか?





ある!!!!!!ギニン


尿素回路だ!!!!!!!!!!






それはアルギニンを回路の途中で使用*22して、アンモニア尿素へと変換する代謝経路だ。

このアルギニンの増加はきっとアンモニアの絶対量を減少させることに繋がる。
アンモニアが人体に有毒でありまた疲労を感じる原因になるのは有名な話だ。


つまり、アルギニンは疲労回復の効用を持っていると言える!!!!!







勝った


勝利だ





人類はここに宣言する





我々は魔剤に勝利した





もはや大勢は決した





この強弁が合っているのか合っていないのかなど最早どうでもいい





ぼくはずっと疑問だった魔剤のアルギニン配合の理由に自分で納得いく解答を見つけ出したのだ





まさに歴史的快挙





人間は魔剤には屈しなかった





そう、今日この日こそ永遠の記念日となるのだ────





8.保存料(安息香酸)
9.カフェイン
11.着色料(アントシアニン
13.ビタミンB6

【最終戦績:4勝11敗】


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その日、ぼくは新たなるステージへと進んだ。
滂沱と涙を流して生まれ変わった世界を享受する。
もう二度と「魔剤なんてよく分からないもの飲むのやめなよ」という声に煩わされることはない。
次からぼくはその声に対してこう返事ができるのだ。そのなんと誇らしいことだろうか。





え? 君魔剤の成分の作用機序知らないの?笑





ぼくはその事実にほくそ笑みながら、魔剤片手に*23この記事を投稿するのであった────

*1:本家のコピペの大意を外す形になってしまった。すマン!

*2:僕も僕で迫り来る追試に追われています。

*3:翌日が納期、などという方はこれまでの行いを反省してください

*4:筆者は魔剤を飲むと眠くなります。なんで?

*5:エナジーをなぜか補給させることができる飲み物

*6:どういう原料がどういう効果を及ぼしとるん

*7:こじ付け

*8:まあスクロースはフルクトースとグルコース合わせただけみたいなものですが

*9:スクラーゼはスクロース特異的にグルコースを認識してグリコシド結合を分解、インベルターゼは二糖類でフルクトースを含むものを認識してフルクトースのグリコシド結合を分解する、みたいな違いがあったような覚え。逆かも

*10:グルコース代謝の仕組みの名前です

*11:エムデン-マイヤーホフ経路

*12:これの高エネルギーリン酸結合をエネルギーを貯める財布として使っています

*13:ヒトは呼吸でもエネルギーを得ていますが、その呼吸の中の酸化的リン酸化というところで大きく関わってきます

*14:電子伝達系で機能し酸化還元反応酵素補酵素として働きます

*15:らしい

*16:フルクトースは天然の糖で最も甘い。具体的には一般的な砂糖の二倍弱くらい

*17:ルフィくらい関わってくるのは脂肪酸です。というとどれくらい重要か伝わるかな(伝われ)

*18:β酸化といえば高校生物やってた人には通じるかも

*19:前述の糖も解糖系の後のTCAサイクルでアセチルCoAを作ってます

*20:強弁

*21:強弁

*22:オルニチン→シトルリン→アルギニノコハク酸→アルギニン→オルニチンと周回しながら反応が進んでいく

*23:現在時刻:午前3時半