乱択ショートショート #02
こんにちは。
三日坊主なので今日で折り返し予定です。
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ショートショート『片思い』
街外れの神社の裏。木漏れ日の差すあぜ道を抜けたところにある小さな鳥居が目的地だった。
そこに二人組で訪れると、片方は天狗だかなんだかに連れて行かれるらしい。
馬鹿らしいと思いながらも現場を訪れた僕は早くも後悔していた。黒ずんだ木の鳥居はたしかに雰囲気があるけれど、それだけだ。耳をすませても風の音や鳥の鳴き声が聞こえるばかりで何かが近づいてくるような兆しはない。
ただでさえ胡散臭い噂をもとに、ましてやひとりでやってきたのだ。長鼻の妖怪はお一人様には手が出せないようだし無駄足だったみたいだ。
面白いこともなさそうだし、もう帰ろうかな。
最後にここにきて撮ってみた写真を見返してみる。
林。山道。ヒヨドリ。そして──
「うえ」
そのうちの一つに、思わず変な声が出てしまった。
「なにが神隠しだよ。心霊スポットじゃないか」
小さな鳥居の左横で仏頂面をした僕を捉えた写真だ。けれどその右半分は半透明な何かがいるように不鮮明だった。よくよくみれば顔があるようにも見えるし、不気味でしかたない。
最悪の気分だ。本当にくるんじゃなかった。
だいたい、どうしてこんなところに来てしまったんだ? そもそも僕は神隠しなんかに興味なんてないのに。
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